医療的ケア児の付き添い入院|小児科病棟で驚いたあたたかい設備・支援5選【実体験】

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私は小児科病棟には、看護学生のころに病院実習で行ったことがあるくらいで、
実際に深く関わったことはあまりありませんでした。

整形外科で働いていた頃、幼稚園くらいのお子さんが骨折で入院して、
お母さんがずっと付き添っていたことがあります。

骨折したところが痛い、
手術が怖い、
環境になじめず眠れない…、
医療スタッフを見ると、痛いことをされるのではないか?と怯え、
お子さんはよく泣いていたことを思い出します。

そんななか、付き添いのお母さんが、
お子さんの着替えやシャワー、食事など、すべて対応してくれました。

私たち看護師がしていたのは、疼痛コントロールや点滴、創部の処置など
医療的なケアという限られた部分でした。

「何か手伝えることはありますか?」とお聞きしましたが、
バタバタしている病棟の雰囲気の中、お母さんも気を遣ってくださり、
頼みたくても、きっと言えなかったと想像します。


お母さんは、きっと心も体もとても大変だっただろうなと思います。
今になって振り返ると、お母さんのシャワーや食事、
買い物の時間は全然とれていなかったのではと思います。
もっと、お母さんが、具体的にどんな支援が必要なのか想像しながら、
お母さんの時間や心の余裕を作る配慮が必要だったと感じています。

そんな私が実際に子どもの入院に付き添う立場になってみて、
驚いたこと・ありがたかったことを5つご紹介します。


1)付き添い入院が“必須”な病院も!

お子さんが入院する場合、”親が付き添うこと”があります。
子どもは、自分で身の回りのことができなかったり、
不安で泣いてしまったり…。
安心して入院するためにも、
病院の方針として、付き添いが必須とされている場合もあります。

また、医療的ケアや特別なサポートが必要なこどもの場合、
普段の様子を知っている保護者がそばにいることで、
安全に入院生活を送ることができます。

でも付き添い入院って、親にとっても、本当に大変です。
子どもがずっと泣いていたり、点滴を抜きそうになったり….
そばに付きっきりでいるため、
ミルクを作る少しの時間さえ取れないこともありました。

そんなときは、遠慮せず担当の看護師・保育士さんに
「お願いしたいこと」を伝えるようにしましょう。
朝のうちにお願いを伝えると、スムーズです。

私は最初、「お願いするのは申し訳ない」と思い、
自分だけで頑張ろうと思っていました。
しかし、子どもを一人にはさせられない中での、
自分のシャワーやご飯の買い物など…
自分自身のことはサポートがなければ、
何もできませんでした。

無理をすると、体調を崩してしまうこともあります。
医療スタッフの方々もお忙しいとは思いますが、
ぜひ「助けて」と声をあげて、お力をお借りしましょう。

2)保育士さんが病棟での遊び方を教えてくれる!

病院によっては、保育士さんが常駐している小児病棟もあります。
親がシャワーや買い物に行っている間、病室で子どもと遊んでくれたり、
病棟でできる子どもとの遊びや過ごし方、育児の悩みについても
相談にのってくれます。

私たちが入院していた病棟では、朝、保育士さんが病室を訪れてくれて、
廊下を歩いているときには、「気軽に話しかけてくださいね」と声をかけてくださることもあり、
とても心強かったです。

また、長期入院しているお子さんのために、季節の飾りを一緒に作ってくれたり、
お誕生日には子どもの手形・足形を使った、
手作りカードやプレゼントを用意してくれることもあります!

3)自動スイングを貸してくれた!

夜中に娘がなかなか寝付けず、ずっと泣いていたとき、
看護師さんが「これ使ってみますか?」と**ハイローチェア(電動のゆりかご)**を貸してくれました。
ずっと抱っこをして腕が疲れた時や、
短時間だと子どもも気分転換になって、落ち着くことがありました。
私も心が救われました。

我が家のハイローチェア”アップリカのユラリズム”。
購入時は、バウンサーとどちらにするか迷いました。


4)個室が多く、お部屋代がかからないことがある!

大部屋だと、「泣き声で周りに迷惑かけないかな…」
「周りの音で、目が覚めないかな…」と心配になりますよね。
また、入院が長引くとストレスもたまります。
でもこれまで5回の入院、すべて個室で、しかも無料でした。
気兼ねなく過ごせて、親としてもとても安心できました。

親の希望で個室を利用する場合は、
差額ベッド代を支払う必要があります。
では、どのような場合に差額ベッド代が
請求されないのでしょうか?


① 医学的必要性があると医師が判断した場合

たとえば以下のような理由があるとき、病院側は差額ベッド代を請求できません

  • 感染症の可能性がある
  • 免疫が低下していて感染防止が必要
  • 精神的理由により他者との同室が困難 など

② 病院の都合により個室しか空いていない場合

  • 多床室が満床で、病院側の都合で個室を使用した場合
    ※ただし、大部屋が空き次第、移動をお願いされることもあります

✅ 医療的ケア児の場合は?

医療的ケア児では、病院側が配慮して個室を優先的に割り当てることがあります
実際に、一部の病院では

  • 医療的ケア児や重症児のための個室をあらかじめ確保
  • 差額ベッド代を請求しないようにしている

という運用を行っているケースもあります。
その理由としては…


  • 医療的ケア(呼吸器・吸引など)の音が周囲の迷惑にならないようにするため
  • ケアに時間や人手がかかり、多床室では対応が困難なため
  • 感染リスクが高い、または他の患者に感染させるリスクがある
  • 医療機器のスペースや、家族の付き添いスペースを確保する必要がある

など、医学的にも、運用上も個室の方が安全・適切と判断されることがあるためです。

医療的ケア児の中には、呼吸器や経管栄養などの医療処置に加え、
感覚過敏や神経発達の特性から、
突然大きな声を出したり、
・周囲の音や光に敏感に反応する子どももいます

こうした特性があると、
・他の入院患者に影響が出たり、
・本人自身が多床室では不安定になってしまうことも。
そのため病院では、安全で落ち着いた環境を保つために、
個室を優先的に調整し、
差額ベッド代を請求しないよう配慮するケースもあります

釧路赤十字病院では、感染症の拡大を防ぎ、
子どもと家族が快適、そして安心して過ごせるように、
治療に専念できる環境づくりの一環として、
個室を増設したそうです。
全国的にも、こうした個室の増加は広がりつつあります。

参考:釧路赤十字病院、小児病棟の個室8床増21床に


5)子どもが笑顔になる明るい病棟

初めての入院。子どもは辛そう。
一刻もはやく良くなりますようにと願い、
不安な気持ちでエレベーターに乗り、小児科病棟へ向かいました。
すると、扉が開いた瞬間、目の前に大きなお雛様が!!
思わず、「わあ!」と笑みがこぼれました。

ハロウィンやクリスマス、お正月、お雛様、七夕など、
スタッフステーションの横には、その時期ならではの飾りつけが並んでいました。
写真撮影もできて、家族にとって”この時は、頑張ったね”と、
振り返る大切な思い出の場所になりました。
私たちは体験しませんでしたが、イベントが開かれたり、
ファシリティドッグが来てくれる病院もあるそうです。

また、小さなことですが、
病室のカーテンが、キャラクターの可愛いデザインになっていて、
ほっこり癒されました。
子どもが笑顔になれるような、明るい病棟の工夫が感じられて、嬉しかったです。

ファシリティドッグ「マサの部屋」 | 国立成育医療研究センター
実際にファシリティドッグが来てくれる病院のサイトです。



おわりに

子どもの入院は、付き添い人にも負担がかかるもの。
でも、病院によってはこんなふうに子どもと家族に寄り添った工夫や支援がされている
ことを知り、励まされました。

これから入院を控えている方にとって、少しでも参考になればうれしいです。
事前に病院に用意されている物品を聞いてみるのもいいかもしれませんね。

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