初めて、自宅で医療機器や酸素を使うとき。
「壊したらどうしよう」「複雑そうだけど、ちゃんと使えるかな?」と、不安でいっぱいになりますよね。
私たちも、在宅医療を始めたばかりの頃はそうでした。
そんな中、私たちの生活を大きく支えてくれた、
大切な存在が「医療機器・酸素業者さん」でした。
最初は「機械を運んでくれるだけの人」というイメージでしたが、
実際に関わってみると、困ったときにすぐ相談できたり、
細やかに様子を見てくれたりと、
想像以上に頼れる場面がたくさんありました。
「この人がいてくれて、本当によかった…」
そう思える瞬間が、何度もありました。
今では担当者さんと仲良しです!
今回は、そんな医療機器・酸素業者さんと、
我が家がどのように関わってきたのかを、体験談を交えて5つご紹介します。
私のちょっとした失敗談も含めてお話ししますので、
これから在宅医療を始める方の参考になればうれしいです。
目次
1.医療機器・酸素業者さんの役割
◆医療機器・酸素業者さんの違い
項目 | 医療機器業者 | 酸素業者 |
---|---|---|
主な対象 | 呼吸器・吸引器・モニターなど | 酸素濃縮器・酸素ボンベなど |
主な役割 | 機器全般の設置・説明・点検 | 酸素供給・機器管理・残量確認 |
担当範囲 | 在宅医療機器全般 | 酸素療法に関する範囲が中心 |
実際の現場では | 両方を一社が担当する場合も多い |
◆在宅生活をしている、家族との主な関わり
1.機器の搬入・設置
医師の指示に基づいて、必要な機器(呼吸器・酸素濃縮器・吸引器など)を自宅まで届け、
使いやすいように設置してくれます。
火に近づけてはいけないなど医療機器によって注意事項があるため、
お部屋の環境に合わせて、配線や置き場所の相談にものってくれることがあります。
2.使い方の説明と初期指導
電源の入れ方やアラームの意味、お手入れの仕方
万が一のときの対応まで、使い方を丁寧に教えてくれます。
機械に不安があれば、都度快く説明してくれるので安心です。
3.定期的な点検・メンテナンス
数カ月に1回、定期点検や交換に来てくれます。
呼吸器や酸素濃縮器の動作確認、バッテリーの状態、酸素の流量や濃度、
消耗品の劣化などをチェックし、安全に使える状態を保ってくれます。
4.トラブル対応・緊急時の相談
「アラームが鳴る」「風が出ない」「マスクが壊れた」など、
もしもの時も連絡すればすぐ対応。夜間や休日に相談できる緊急ダイヤルを設けている会社もあります。
5.酸素ボンベ・消耗品の補充
酸素ボンベが空になったら新しいものと交換してくれます。
酸素ボンベのサイズや種類もいろいろあり、
お子さんの成長や使用状況によって変更することができます。
配管や加湿器、カニューレなどは
定期的に交換が必要なため消耗品の補充をしてくれます。

ここからは、我が家が実際にどんな相談をしているのかをご紹介しますね
2.我が家の相談内容5選
1) 医療機器を嫌がった時の相談
子どもが医療機器を嫌がる…。
そんな時、どうすればいいか悩みますよね。
私の子どもは、呼吸器をとても嫌がっていました。
嫌がる理由には、たとえば
- マスクやカニューレの装着感が不快
- 風の強さ、圧が合っていない
- 音や振動。急に鼻や口につけられて、びっくりしてしまう
…など、さまざまな原因があります。
本来、医療機器やマスクの選定は医師の指示で行うものですが、
業者さんは、沢山のご家庭をサポートされてきた「現場のプロ」です。
豊富な知識や経験を持っています。
そのため、医師や看護師にも医療機器を嫌がることを相談しますが、
業者さんにもアドバイスをいただきます。
「みなさん最初は装着を嫌がることが多いです。」
「遊びながら付ける練習をしているご家庭もありますよ。」
「こういうマスクや呼吸器もありますよ。」
と、寄り添いながらアドバイスをくれることもあります。
医療機器は命に直結します。
そんな大切なものを子供に拒否するとなると、親としては、
「どうして嫌なの?」「一体どうすればいいの?」「嫌がってもつけるべき?」と、
不安や焦り、葛藤を感じてしまいます。
子どもに本当に合うものを見つけるために、
医師の力だけでなく、
こうした専門の業者さんにもアドバイスをいただきながら、
子どもにとってベストな治療を、これからも探していきたいと感じています。

試したマスク3種類
医療機器・酸素業者さんから、
どんなマスクの製品があるのか確認しました。
マスクの試供品は、訪問診療のクリニックから
お借りしました。
訪問看護師さんと一緒に、どれが娘に合っているか
確認しました。
2)成長や季節の変化で気になること
我が家では、おおよそ3カ月に一度、
業者さんが呼吸器や酸素の機器を点検、消耗品の補充をしに来てくれます。
その際、以下のようなことを相談します。
- 機械のエラーがたまに出るのが気になる
- 鼻カヌラのサイズは今のままでよいか
- 今後梅雨の時期、機器にカビが生えることはないか
- 最近の様子(呼吸器を徐々に嫌がらなくなったなど)
ただの点検だけではなく、「大きくなりましたね」と子どもの成長に気づいてくれたり、
機器の使用状況、生活の様子にも目を向けてくれるのがとても嬉しいです。
おうちに来ていただいた時は、ちょっとした困りごとや疑問も気軽に相談できる
大切な時間になっています。
3)お手入れや注意点の確認
医療機器は、家庭での日々のお手入れもとても重要です。
洗い方や保管の方法を間違えると、
故障や不衛生につながるだけでなく、
感染症や身体に悪影響を及ぼす可能性もあります。
私の失敗談も、参考になればと思いご紹介します。
先日、我が家では、”トリクロジーエボ”という呼吸器を使い始めました。
その際、「回路・マスク・ヘッドギアを週1回中性洗剤で洗ってください」と
教えていただいたのですが、
普段使っている、「酸素チューブも洗剤で洗えるのでは?」と思いつい洗ってしまいました…!!
すると、なんと!!チューブがピンク色に変色してしまいました。
さらに、酸素チューブに接触していた胃管までピンク色に…!!

洗剤で洗ってしまったことで、
酸素チューブが全体的に
ピンク色になってしまいました…

酸素チューブに接触していた胃管も
ピンク色になってしまい、
交換日ではありませんでしたが、交換しました。
体調への影響もとても心配でした。
酸素チューブや胃管などは、素材や構造の関係で、
洗剤や水分が残るとカビや菌が繁殖しやすくなり、
感染症の原因になることもあるそうです。
さらに、劣化したまま使い続けると、
身体に悪影響を及ぼすこともあります。
今回は、見た目の変化ですぐに気づけましたが、
もしこのまま使い続けていたら…と思うと
本当に怖いです。
清潔にしようと思っても、方法を間違えると逆効果に!!
お手入れの仕方は、必ず業者さんや慣れている医療スタッフに確認しましょう💡
4)お出かけや引っ越し時のサポート
在宅酸素療法を受けている場合、旅行先のホテルに酸素濃縮器や酸素ボンベなどを、
配送してくれる、頼もしいサービスがあります。
事前に、医師の許可が必要になることもあるため、
できるだけ早めに相談しておくことがおすすめです。
また、引っ越しの際には、
・機械を安全に運んでくれたり、
・新居での使い方
・問題なく作動するか..などを
確認してくれたりと、まさに心強い存在です。
日常生活に欠かせない、大切で精密な医療機器。
だからこそ、慎重に・確実に運搬してくれるサポートは
本当にありがたいですね!
5)酸素ボンベの相談
先日、夫が「ハイサンソ ポータブル」という機器を知りました。
※参照:ハイサンソポータブルの詳細はこちら
(医療関係者向けサイトへのリンクです。ご注意ください。)
室内の空気から酸素を濃縮して取り出す、
携帯型の酸素濃縮器です。
私たちは在宅用の酸素濃縮器をお借りしていますが、
それを持ち運びできるという点で、
外出時にも便利だなと思いました。
普段我が家では、移動するときには、↓酸素ボンベを使用しています。

普段使用している酸素ボンベ
2.1L用です。リュックにいれて
背負っています。
★お出かけの際は必ず残量を
チェックして、何時間持つか
確認しましょう!!
「ハイサンソ ポータブル」が使えるか気になり、
業者さんにちらっと相談してみました。
すると、製品はあるそうですが、
娘の酸素流量は0.25L。
ハイサンソ ポータブルは0.5Lからの使用のため、残念ながら合わないとのこと。
「最近よく使うなら、もっと大きめのボンベもありますよ」
「短時間のお出かけなら、持ちやすい小さいサイズもありますよ」
など、生活スタイルに合わせた柔軟な相談にものってくれるのは、
とても嬉しいです。
◆酸素濃縮器と酸素ボンベの違い💡
項目 | 酸素濃縮器 | 酸素ボンベ |
---|---|---|
仕組み | 空気中から酸素を取り出して供給 | あらかじめ酸素が充填されている容器 |
電源 | 必要(コンセントまたはバッテリー) | 不要(電源なしで使用可能) |
使用時間 | 電源がある限り連続使用可能 | 内容量がなくなるまで(数時間〜数日) |
補充・交換 | 不要(フィルター交換などのメンテナンスは必要) | 酸素が減ったら交換が必要 |
携帯性 | 比較的重く、持ち運びには不向き(据え置き型が多い) | 小型のものなら持ち運び可(外出向き) |
主な使用場面 | 自宅での長時間使用に向いている | 停電時のバックアップや外出時など一時的な使用に向いている |
音 | 作動音あり(モーター音) | 作動音なし(バルブ開閉音のみ) |
点検・管理 | 定期的なメンテナンスが必要(1〜3カ月に1回程度) | 残量確認・交換管理が必要(使用状況による) |
3.おわりに
機械を届けてくれるだけではなく、**「暮らしに寄り添ってくれる存在」**
として関わってくれる医療機器・酸素業者さん。
わが家では、もはや **「生活のパートナー」**と呼びたくなるような、
大切な存在になっています。
これからも、業者さんのお力をお借りして、わが家らしい暮らし方を
見つけていきたいと思います。
注意!!――
※医療機器の使用については、必ず医師の指示や判断に基づいて行われます。
機器や付属品には体に合う・合わないなど個人差があるため、
使用を検討される場合は、医師や専門スタッフにご相談ください。
また酸素ボンベの大きさを変更したい場合も、医師に確認が必要な場合がございます。
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