風邪のときはリハビリを中止する?心拍数・自覚症状・医師へ相談する目安を解説

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訪問看護師が玄関に来て、赤ちゃんを抱っこしている女性が向かい入れている写真

土曜日から娘が風邪をひきました。みなさんは、どのような基準でリハビリをお願いするか中止するか決めていますか?

リハビリを行うことは大切ですが、体の状態によっては中止や休息が必要なタイミングがあります。
「咳をしているけれどリハビリはしたほうがいいの?」「心拍が上がりやすいけど大丈夫?」と迷うこともあるでしょう。
本記事では、リハビリを中止すべきサイン風邪のときのリハビリを、わかりやすく紹介します。

1.リハビリを中止する基準

1)日本循環器学会/日本心臓リハビリテーション学会

2)日本リハビリテーション医学会

こちらの1)2)などにリハビリを中止する基準が載っています。文献によって、内容はやや異なり疾患別にも指標があります。また血圧や脈拍などは個人差があるためその人にあった基準も大切になりますが、例えば、

前田真治「リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン」Jpn J Rehabil Med VOL. 44 NO. 7 2007,p388では、以下のように示されています。

『積極的なリハを実施しない場合
①安静時脈拍 40/分以下または 120/分以上
②安静時収縮期血圧 70以下または200以上
③安静時拡張期血圧 120以上
④労作性狭心症の方
⑤心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
⑥心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
⑦著しい不整脈がある場合
⑧安静時胸痛がある場合
⑨リハ実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
⑩座位でめまい,冷や汗,嘔気などがある場合
⑪安静時体温が38 ℃ 以上
⑫安静時酸素飽和度90%以下』

こちらの文献には他にもリハビリを中止する基準や、リハビリ中に起こる事故への対策、用意すべき物品(血圧計・酸素ボンベなど)も載っているので、ぜひご覧ください。

2.リハビリ中止の基準と医師の指示

リハビリテーションは必ず医師の指示のもとで実施する医療行為ですので、
「中止の基準」も最終的には主治医またはリハビリを統括する医師の判断によって決まります。しかし、医師がリハビリを中止する基準や運動負荷量を事前に指示している事業所とそうでないところがあります。参考:厚生労働省,通所リハビリテーションp.27

私の娘が風邪をひき、リハビリ時心拍数が180台になりました。訪問リハビリスタッフさんにリハビリの基準をお聞きすると、その場で医師に確認してくれました。他のお子さんも発熱などの基準はなく、原因や状態によって医師と相談して中止をするか判断するそうです。

3.理学療法士による風邪へのアプローチ(例)

呼吸リハビリや体位ドレナージ、軽運動による体力維持などは理学療法士の専門領域です。ただ、看護師や一部の作業療法士も実施可能なことがあります。

1)呼吸・排痰に関するアプローチ

風邪で鼻づまりや咳があると呼吸が浅くなり痰がでづらいときがあります。理学療法士は呼吸機能をサポートできます。

  • 呼吸リハビリ(肺をしっかり膨らませて換気を促す。咳や痰を出しやすくする。呼吸を楽にさせ、体力低下や合併症を防ぐ
    • 腹式呼吸:横隔膜を意識して深く息を吸う
    • 肺胞換気促進:軽い息止めやゆっくり吐く呼吸で酸素の取り込みを改善など
  • 咳・痰の排出サポート
    • 咳を出す補助・タイミングの指導、体位ドレナージ(姿勢を変えて痰を出しやすくする)

2)体力・筋力の維持

  • 軽いストレッチや関節運動
    • 首・肩・背中・足首などを無理なく動かす
    • 筋肉の血流を促して回復を早める
  • 体位変換の補助やベッド上運動
    • 寝て過ごすしかない場合も、関節拘縮を防ぐ運動を指導
  • マッサージ

  • 呼吸しやすい姿勢の指導
    • 背中を少し起こした座位
    • 横向きで少し膝を曲げた寝姿勢(胸部圧迫軽減)

など

4.リハビリと責任

体調が悪い時にリハビリを行うと、急変のリスクがないわけではありません。
「どの時点で中止すべきか」という判断は、最終的には医師の判断ですが、しばしば現場で意見が分かれるポイントです。
たとえば、私が病棟看護師として勤務していたときによく経験していたのは、
看護師とリハビリスタッフとのリハビリに対する考えの違いです。

1)看護師の視点 ― リハビリを“続けたい”理由

看護師としては、患者さんがリハビリを受けることで

  • 気分転換になる
  • 拘縮や廃用の予防ができる
  • 排痰や循環促進にもつながる
  • 患者とのコミュニケーションの機会になる
  • スタッフが状態をリハビリ時間内ずっと見てくれている
    といった多くのメリットを感じています。

2)リハビリスタッフの視点 ― “やらない勇気”の背景

一方でリハビリスタッフは、運動負荷による急変リスクを常に意識しています。

  • 不安定な心拍や血圧
  • 呼吸状態の変動
  • 医師指示の範囲外の活動リスク
    これらを踏まえ、「今は安静が優先」と判断する場合があります。
    リハスタッフは、訓練の「質」と「安全」の両立を重視しており、特に責任の所在が明確でない状態での実施
    を避ける傾向があります。

もちろん、リハビリを受ける本人・家族の意見もとても大切です!!

5.おわりに

娘が風邪をひいた際、臨時で理学療法士さんが訪問してくれて、呼吸リハビリ・排痰サポートをしてくれました。感染リスクがゼロではない中でも、リハビリを行ってくださったリハビリスタッフや看護師、医師など医療スタッフの皆さんには心から感謝しています。訪問を受ける側としても、換気や手洗いなど感染対策に気を配ることが大切だと感じました。

私の娘は、リハビリのおかげで排痰がしやすくなり、呼吸も楽になりました。体調不良のときでも、すぐに中止するのではなく少しでも体が楽になる方法がないか、医療スタッフに相談してみることをおすすめします。

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