医療的ケア児の保活と不承諾通知──延長申請の条件や地域差、体験談

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みなさんの地域には、医療的ケア児を受け入れている保育園はありますか?

医療的ケア児を受け入れる保育園は年々増えてきていますが、現場では看護師不足医療的ケアに関する研修を受けた保育士がいない施設設備の未整備といった理由から、実際には入園できないケースも少なくありません。

私の子どもの場合も、体調が不安定なため、医師から保育園への入園許可は下りませんでした。
今回は、そんな中で育児休業を延長する際に困ったことや、実際に行った申請方法についてご紹介します。

1.妊娠中からの準備

どの保育園が医療的ケア児を受け入れているのか、ネットで調べてもわからないですよね。

私は妊娠中、区役所に出向き「医療的ケア児が入れる保育園はあるか」を確認しました。一般の子どもと医療的ケア児では入園申込や開始時期が異なることが分かったり、定員の状況についても教えてもらいました。

2.育休終了3か月前

復職が近づき、医師に保育園の利用について相談したところ、「まだ許可は出せない。来年検討しましょう」と言われました。
さらに調べると、医療的ケア児が入れる保育園はすでに満員で、募集すらかかっていないことが判明しました。

3.保健センターへの問い合わせ

育児休業の延長申請に関して、保健センターの保育担当に電話をしました。

  • 医療的ケア児で医師から許可が出ていないこと
  • 医療的ケア児の受け入れ保育園が満員だが、希望の欄にはどう書けばいいのか
  • 医療的ケア児の場合、保育園の入所申請を行わずに延長申請ができると聞いた
    ことを尋ねました。

すると返ってきた言葉は
「不承諾通知は申し込まないと出せません。保育園は自分で調べてください」と言われました。
「医療的ケア児を受け入れている保育園は満員ですよね?」と聞くと、
「保育園に入りたくないんですね」
と言われたのです。

この一言がとてもショックで、涙が出ました。
また、保育園の書類について「もう準備しなければいけませんよね。取りに来れますか?」と言われました。
本当は準備を進めたい、行きたい気持ちはあるのに、余裕がなくて焦ってしまい、胸がぎゅっと苦しくなったのを覚えています。

4.担当保健師さんへの相談

このままでは進まないと思い、担当の保健師さんに連絡しました。
保健師さんが、保育園担当者に確認後、
「今は空きがない医療的ケア児を受け入れている保育園と、受け入れていない保育園の両方を書いて、今回は落ちてください。そしたら不承諾通知がもらって延長できます。」
と言われました。

私が「でも、受け入れていない保育園を記入しても、医療的ケア児の受け入れはできませんよね?」と聞くと、
「そうですね」と返答されました。
最初は、「受け入れていない保育園」を書くなんておかしいと思いました。

しかし、 「医療的ケア児を受け入れている園」「受け入れ体制が整っていない園」 の両方を記入するメリットがあるそうです。

1)受け入れていない保育園を記入するメリット

なぜなら「受け入れ可能な園に入園できそう」と思える場合でも、実際には 医師の許可(診断書など)が出ていないため入園できない こともあります。

その場合は、あえて「受け入れ体制が整っていない園」を第一志望にして落ちるように調整してもらい、最終的に現実的に通える園へつながるようにしてくださるそうです。そして、医師の許可が出次第、受け入れている園を第一希望にして選考をすすめてくれるそうです。※あくまで、私の地域の場合です。詳しくは、担当保健師さんと相談しましょう。

保健師さんにお願いすると、保育園の申し込み書類を郵送してくれる場合もあります。
ぜひ相談しましょう。

「受け入れていない保育園」をあえて記入するのは、とても悲しい気持ちになります。
けれど、それも子どもがベストなタイミングで受け入れている保育園に入園のために必要な手続きのひとつなのです


6.申請書類

1)延長事由認定申請書

厚生労働省が作成した「延長事由認定申請書」というものがあります。
この書類で、市町村と話し合って“保育園に入れない理由”を記載して保育園に申し込まなくても延長できる地域もあれば、私の地域のように実際に申し込みをする必要がある地域もあり、運用には大きなばらつきがあります。

さらに、この申請書は令和7年度から新たに始まった制度のため、現場の職員でも存在を知らない方がいたり、まだ十分に周知されていないという課題もありました。

2)不承諾通知

保育園への入園申し込みをしたものの、選考の結果入園が認められなかった場合に自治体から届く通知のことです。


  • 結果の証明書としての役割があります。
  • 園に空きがあっても、医療的ケアへの対応体制が整っていないと「不承諾」になることがあります。
  • 自治体によっては、この不承諾通知を延長申請の必須条件にしているところもあります。
  • そのため、入れないことが分かっていても形式的に申し込みを行い、不承諾通知を受け取らなければならないケースがあります。

7.感じたこと

今回の経験や友人の話を聞いて、地域ごとに対応が大きく違うこと、そして医療的ケア児について理解していない担当者が、区役所の保育部署であってもまだまだ多いことが分かりました。

保護者にとって、保活は時間と労力、そして精神的なエネルギーを消耗します。

医療的ケア児とその家族が、手続きに振り回されることなく、安心して保活や延長申請ができるような制度と運用の改善が求められます。また、保護者や関係者が混乱しないよう、わかりやすく十分な情報提供を行うことも不可欠です。

8.スムーズな申請のために必要なこと

  1. 妊娠中や早い段階から情報収集を始める
     医療的ケア児を受け入れてくれる園や条件は限られているため、時間に余裕をもって調べましょう。
  2. 必要時複数人に相談する・分からないことは何度も聞く
     今回は保健師さんが対応してくれましたが、納得できない場合は医療的ケア児等支援センター・相談員などに質問しましょう。
  3. 記録を残す
     電話や面談で聞いた内容は日付と担当者名をメモしておくと、後の確認や手続きで役立ちます。
  4. 周囲の経験者とつながる
     SNSや家族会、医療的ケア児の親同士の交流会で、実際の体験談や地域の最新情報が得られます。
  5. 無理をしない
     精神的にも体力的にも負担が大きい保活。全部を完璧にやろうとせず、必要に応じて行政や支援団体にサポートを求めてください。

9.おわりに

復職のために保育園に入りたいと思っても、子どもの状態や受け入れ体制によっては難しい場合があります。
その現実に直面すると、今後への不安や精神的な負担が重なり、保活や育休延長の手続きは想像以上に複雑で大変でした。

特に医療的ケア児の場合、制度はまだ新しく、地域や運用の違いによって対応が大きく変わります。
そのため、私のように戸惑ったり、時には傷ついてしまう方も少なくないと思います。

今回の経験をまとめたのは、同じように悩んでいる方にとって少しでも参考になれば、という思いからです。

私たち保護者が安心して子育てと仕事の両立を考えられるよう、制度や運用の改善、そして正確で十分な情報提供が広く行われることを願っています。
もし今、同じような状況で不安を抱えている方がいたら、どうか一人で抱え込まず、周囲の人や支援窓口に相談してみてください。

★ぜひ育児休暇延長の際には、こちらの厚生労働省が作成したパンフレットをご覧ください

厚生労働省:育児休業給付金の支給対象期間延長手続き

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