医療的ケア児の“見えない大変さ”と家族が本当にやりたいこととは?

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【対談】家族がやりたいこと&医療的ケア児自身が抱える大変さ

あきこ

医療的ケア児のママ。看護師(育児休業中)。会社員の夫と3人暮らし

わたし

医療的ケア児のママ。あきことはSNSで出会う。

※友人とのやりとりを元に、一部表現を調整しています。友人は仮名です。

◇レスパイトを利用している人は少ない?

あきこ:ここまで、父親・母親・兄弟・祖父母、そして同居している家族それぞれの大変さをまとめてみて、どう思った?

わたし:なかなか自分の気持ちって、タイミングや状況もあって、言いづらいよなって思った。「誰かに負担がかかるなら、自分が我慢しなきゃ」「仕方ないよね」ってみんな思っているんだなって思った。私もそうなんだけど…


あきこ:それ、すごくわかる。
私も最初は、**レスパイト(介護者の一時休息)**なんて必要ないって思ってた。
うちの子だって本当は健康に生まれたかったはずなのに、自分だけ遊びに行くなんて…って。
でも実際には、少し休むことでかなりリフレッシュできたし、
家族のことを見つめ直す時間になったから使ってよかったと思う。貴重な体験だったな。

わたし:わたしの地域では、市で実施している訪問看護師さんによるレスパイト事業があるんだ。年間の利用時間の上限があるから、両親は制度は知っているんだけど、緊急時のためにとっておく人や、責任感から利用できないって思っている人もいるんだって。だから積極的に訪問看護師さんがすすめているみたい。

あきこ:なかなかタイミングが難しいよね。もっと気軽に利用できるようになるといいね。レスパイトを利用して、普段お世話になっている祖父母も一緒に「がんばっているね会」みたいなイベントをちょこっとやるのもいいと思うな。
普段、食事中もバタバタと、私と夫がケアをしてるから、祖父母はゆっくりできてないみたい。
子どもが安心できる場所で過ごしてくれるなら、家族も気兼ねなく楽しめるよね。

わたし:うん。ママ友さんの中には「最初は不安だったけど、預けたら案外楽しんでた」っていう人もいた。
信頼できる人と場所が見つかると、嬉しいよね。


医療的ケア児を支える家族が「やりたいこと」

わたし:ちなみに、こんな調査結果もあったよ!「医療的ケア児家庭が本当はやりたいこと」。

厚⽣労働省 令和元年医療的ケア児者とその家族の生活実態調査(p.73)

\家族が⽇々の⽣活で⾏いたいことランキング/
1番:家族一緒に外出や旅行をする
2番:自分のための時間を持つ
3番:家中の掃除をする
4番:健康診断に行く
5番:趣味を楽しむ

あきこ:どれも分かる~!!「家中の掃除(3番)」って聞くと、掃除できていないのうちだけじゃないって思えてほっとする(笑)健康診断(4番)も会社勤めのときはやっていたけど、今はタイミングも時間もなかなかないよね。大切なことだけど、しないでおわりそう。

わたし:“特別なこと”じゃないのに、それが難しいって感じる日々があるんだよね。


◇普段助けられているから、自分も誰かを支えたい

わたし:実はこんな声もあったよ。

  • 13番:ボランティア活動をする
  • 14位:地域の役割(PTAや町内会など)を担う

あきこ:えっ、ボランティア活動!? すごい…!!46.4%のひとが行いたいって答えてるんだね!
「誰かのために何かしたい」って、思えるなんて尊敬する。

わたし:わたし今までボランティア活動をしたことなんて全然ない。高校や大学入試の履歴書に書くためにボランティアをとりあえずやってみたくらいなの。でも、今ならボランティアの魅力わかるなあ…。普段助けられているから、自分も誰かを支えたいし、純粋に社会の役に立ちたい。あとボランティアをしている参加者となにかを成し遂げる達成感ってあるよね。

あきこ:家の中だけの世界に閉じ込もりたくない、社会と関わりたいって気持ちもあるのかもしれないよね。そして自分の言葉で誰かを癒したり、経験が誰かの助けになったらなって思う。


医療的ケア児本人が抱える“見えない困難”

あきこ:ここまで家族の気持ちを話してきたけど、医療的ケア児本人の大変さもちゃんと理解しないといけないよね!

わたし:本当にそう思う。私のこどもは本当によく頑張っているの!!毎日毎日!!本当に尊敬するし、感謝の気持ちでいっぱい。
本人が言葉にできないから、代わりに想像するしかないのですが、医療的ケア児本人が抱える”見えない困難”についてまとめてみました。


🔹体のこと

  • 突然体調が悪くなりやすい。楽しみだった予定がキャンセルになることも
  • 体調が回復しづらい。風邪ひとつでも命にかかわる
  • 医療的ケア(吸引・注射・モニター音など)が苦痛
  • 昼夜問わずケアがあり生活リズムがつきにくい
  • しっかり眠れないこともある
  • 身体が思い通り動かない。辛さがある
  • 自分に関する話なのに、親が決めてしまう
わたし

医療が発展しているとはいえ、まだまだ症状のコントロールができない現状があります。
私の娘は”睡眠時無呼吸”があるので、本人はスヤスヤ寝ているのに
呼吸がとまったら親に起こされます。それは昼も夜も関係なしです。

🔹心のこと

  • 「イヤ」「やめて」が伝えられない。伝えても無理にケアをされることがある
  • 従うしかない
  • 現状が理解できないから不安
  • 自分のやりたいことが制限される
  • 自分のせいで家族に負担がかかっていると感じる
  • 疲れた表情でケアされると、申し訳なくなる

🔷生活のこと

  • やりたいことができない
  • ずっと親といるストレス。一人になれない。誰かの助けが必要
  • 自分のペースで生活が出来ない
  • 病院通いが日常

🔹社会とのつながりのこと

  • 同年代の子との関わりが少なく、孤独を感じる
  • 自分の生きる意味に迷うこともある自己肯定感が低くなる
  • 医療者への信頼関係が築けず、怖さがある
  • 保育園に行けない

あきこ:母親自身、健康に産んであげられなくてごめんねって思うよね。

わたし:そうだね…。毎日たくさん頑張っているから、できるだけ辛くない・楽しい毎日を一緒になるように工夫して考えて、過ごしていきたいと思う。


おわりに

医療的ケア児も家族も、みんなひとりひとりがそれぞれの立場で、悩みながらも頑張っています。
「やりたいこと」はわがままじゃなくて、「生きていくための希望」。
なかなか、現実問題、「やりたいこと」すら分からなくなってしまうこともあるけれど──

助けとなるサービスを利用しながら、少し立ち止まって、家族の気持ちや、自分自身の本音にも目を向けてみる。
そんな時間が、きっとこれからの支えになるはずです。

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