子どもを児童発達支援や短期入所、デイサービスに預けて働きたくても、職場が条件に合わない。預け先がない。医師の許可が得られない場合もあります。医療的ケア児の家族が無理なく仕事をできる方法について今回紹介していきます。
目次
1.医療的ケア児家庭と会社の努力義務
「改正育児・介護休業法(令和4年・2022年施行)」では、医療的ケア児や障害のある子どもを育てる労働者への支援を促す規定が追加されました。
企業は、医療的ケア児の家族が 仕事と育児を両立できるように、
次のような取り組みを行うよう努力しなければなりません。
1)勤務形態の柔軟化
- 短時間勤務
 - フレックスタイム制度
 - 在宅勤務・テレワーク
 - 始業・終業時刻の繰り下げ・繰り上げ
 
など、家庭の事情に合わせて働き方を柔軟にできるようにすることが求められます。
2)相談体制の整備
- 医療的ケア児を育てる社員が相談しやすいよう、社内に相談窓口を設ける
 - 上司や人事担当者に対して、配慮の必要性や制度の理解を促す研修を行う
 
3)職場の理解促進
- 他の社員が「特別扱い」と感じないよう、全体で支え合う風土づくりを行うことも大切。
 - 医療的ケア児の家庭の実情を知ることで、チーム全体の理解と協力が生まれます。
 
4)看護休暇・介護休暇の取得促進
しかし、これらは”努力義務”であり、現実では仕事と生活が両立できず離職する家族も少なくありません。
2.医療的ケア児家庭と失業手当(失業保険)
やむを得ない事情で離職した人のことを特定理由離職者といいます。この条件の中に、「家族の介護や看護のために離職した場合」という項目もあり、医療的ケア児の世話・看護・通院等のために離職した場合は、“特定理由離職者”として認められる可能性が高いです。(ハローワークに確認が必要です)
特に「離職後もケアで就職活動が難しい」ときは、受給期間延長申請ができます。住所地のハローワークに行って確認しましょう。
3.私の周囲の方々の働き方
1)時短勤務
時短勤務の場合、正社員からパートタイムに変更となる方も多い印象です。また、児童発達支援の時間内で仕事ができる職場を探す方もいます。
2)リモートワーク
リモートワークが出来る場合は正社員を続けている方が多い印象です。逆に、リモートワークが可能な仕事を探す方もいます。
3)日雇いバイトをする
児童発達支援や短期入所中など日雇いで仕事を探す方もいます。収入は不安定になりますが、急に休んで迷惑をかけるというストレスがないそうです。
4)その他
その他、職場に連れていく・子どもを預けている児童発達支援などで自分も働く・自分で会社を設立する方々がいます。
4.働くための工夫
1)訪問看護・介護を利用する
児童発達支援やデイサービスの前後に訪問看護・介護をいれることで、親が仕事に行っても、訪問看護・介護士さんが送迎を行ってくれる場合があります。ただし、家の鍵をあずけるため信頼が大切です。
2)ネットワークをもつ
医療的ケア児の家族や家族会などのネットワークを持ち、相談することで幅が広がります。中には、仕事を紹介してくれることも。
3)サポートセンターに連絡する
医療的ケア児等支援センターや医療的ケア児の家族が働けるようにサポートを行っている団体もあります。
「特定非営利活動法人 医療的ケア児者と家族を社会につなぐネットワーク(ブリッジネットワーク)」さんは、医療的ケア児と暮らす家族の社会参加を支援しており、資格取得を支援する奨学金やzoomでできるサポートなどを行っています。
ぜひ、HPをごらんください。
5.医療的ケア児の家族が働けない現状
医療的ケア児の家族が働けない現状に、
- 病状や医療的ケアの必要性が高く、常に付き添いが必要で、外出が難しい。外出の許可が医師から得られない。
 - 学校・放課後デイ・医療機関などの受け入れ体制が限られており、預け先が見つからない。学校では付き添いが必要な場合も。
 - 夜間や休日にケアが必要な場合が多く、フルタイム勤務やシフト勤務が困難
 - 緊急時の呼び出し(体調急変など)が多く、職場に理解がないと続けられない
 - 在宅医療サービス・訪問看護・レスパイト(一時預かり)制度が地域によって不十分
 - 介護休暇・子の看護休暇制度が実情に合っていない(短時間・取得しづらい)
 - 職場の理解不足や偏見により、働くことを諦めてしまうケースも多い
 - 在宅ワークなど柔軟な働き方の選択肢がまだ限られている
 - 家計の不安はあっても、ケア優先のため就労を控えざるを得ない
 - 親が睡眠不足で疲労がたまっている。仕事を休んでしまうことに申し訳なさを感じやすい。
 
6.おわりに
医療的ケア児の家族が働くためには、日々のケアと仕事の両立という大きなハードルがあります。
サポートや職場との調整、そして理解ある周囲の存在が必要不可欠なため一緒に探していきましょう。
支援団体や自治体の相談窓口など、頼れる場所はあります。
医療的ケア児の家族当事者であったり、気持ちに寄り添ってくれて優しいです。
どうか一人で抱え込まず、周りの人に相談してみてください。
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