医療的ケア児とBCG接種|集団接種の工夫と体験談

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みなさん、BCGをどこで受けましたか?保健センター・病院、あるいは自宅の方もいるでしょうか。

私たちは先日、保健センターで娘のBCG接種を受けてきました。医療的ケア児ということもあり不安もありましたが、主治医への確認や事前準備で安心して臨むことができました。この記事では、その体験談をもとに「集団接種と個別接種の違い」「医療的ケア児ならではの注意点」についてご紹介します。

1.BCGとは

結核感染の発症を予防する効果があります。特に乳児期の重症化を防ぐことが大きな目的です。
効果は10〜15年ほど持続するとされており、かつては再接種も行われていましたが、追加接種によって効果が高まらないことが分かっています。そのため、現在は 乳児期に1回接種するのみ となっています。

2.BCGを受けるメリット・デメリット

結核は「昔の病気」というイメージでしたが、実は今も結核は日本にあるんです。

1)結核について

結核は、空気感染します。

厚生労働省のHPより「結核は、今でも年間10,000人以上の新しい患者が発生し、1,500人以上が命を落としている日本の主要な感染症です。(中略)新規結核患者は、高齢者に多く、およそ7割が60歳以上となっています。また、特に若年の外国生まれの患者の割合が増加しており、20-29歳の新規患者の8割以上を占めています。」と書かれています。

引用:厚生労働省|結核

2)BCGワクチンを受けるメリット

  1. 乳児期の重症結核を防ぐ
    特に「粟粒結核」や「結核性髄膜炎」といった命に関わる重症化を防ぐ効果が強いです。
  2. 長期間の予防効果
    一度の接種で10~15年ほど免疫が持続するとされています。
  3. 国の定期接種で無料
    日本では1歳未満での接種であれば、無料で受けられます。
  4. 社会的な感染拡大防止に寄与
    乳児が守られることで、家庭や地域での結核のまん延を抑える効果も期待できます。

3)BCGワクチンのデメリット

  1. 副反応が出ることがある
    • 接種部位が赤く腫れる、小さな膿ができる
    • リンパ節の腫れ
    • まれに「ケロイド」や「皮膚の潰瘍」になる
  2. 免疫不全の子にはリスクがある
    体の免疫が弱い子では、ワクチン由来の菌(弱毒化された結核菌)が全身に広がることがあるため、医師による慎重な判断が必要。
  3. 100%感染を防げるわけではない
    感染そのものを完全にブロックするのではなく、「かかっても重症化を防ぐ」という意味合いが強いです。
  4. 跡が残ることがある
    いわゆる「ハンコ注射」の跡が大きく残る子もいます

3.BCGの接種場所

1)保健センター

  • 集団接種方式で保健センターや市町村の指定会場で行われています。

2)病院・クリニック

  • 一部の自治体では、**委託医療機関(小児科や内科クリニック)**でも接種できるようにしています。
  • 最近では、集団接種から病院での個別接種に変更する自治体もあります。

3)訪問診療

  • 医療的ケア児や外出困難な子の場合、訪問診療の医師が特例的に接種してくれるケースがあります。

自治体によって異なるため確認が必要です。

4.BCG体験談(接種前)

1)接種場所の相談

私の地域では、BCGは保健センターでの集団接種でした。
ふだんは訪問診療や病院でワクチンを打っていたため、たくさんの赤ちゃんと一緒に接種を受けることに、正直感染予防の面で不安がありました。

「病院や訪問診療で受けられたら安心なのに」と思いましたが、BCGに限っては保健センターでしか受けられず、医療的ケア児も例外ではありませんでした。

2)接種の条件

接種条件として私の地域では「体重が5kg以上」という基準があり、娘も5kgになるのを待ってから、保健師さんに連絡して接種日を決めました。また、医師にも相談すると「打った方がいい」と言われ、許可を得ました。

3)保健師さんとの打ち合わせ

医療的ケア児のママさんから、当日は感染予防や医療機器の関係から、個室を用意してもらったほうがいいとアドバイスをもらいました。保健師さんに相談すると、個室に加えて、一番最初に接種することになりました。
また、当日は駐車場が混雑するため、夫が駐車場を探すあいだ、私と娘は保健センターの玄関で降ろすようにとアドバイスをいただきました。さらに保健師さんは「お手伝いしますね」と声をかけてくださり、入口で待っていてくれることになりました。

5.BCG体験談(接種当日)

スムーズに保健師さんと会い、個室で待機をさせてもらいました。
母子手帳と問診票を提出し、その場で体温測定。胸部・背部の肺音チェック、舌圧子を使った口腔内の診察もありました。

私の娘は、口の中を触られると吐いてしまいます。口腔内の診察によって嘔吐してしまいました。

”触らないほうがいい場所””しないほうがいいこと”があれば、事前にお伝えするべきだったと反省しました。

診察が終わり接種の許可が出ると、背負っていた酸素ボンベをかごに入れるように指示がありました。これは赤ちゃんが動かないよう、母親が安定した姿勢を取れるようにするためだそうです。

嘔吐したため、娘の体調が整うまで少し待ってくださったのも助かりました。

私と看護師さんの2人で娘を支え、液をたらして広げたあと、ハンコ注射を2か所押しました。BCGのハンコ注射はいつもの皮下・筋肉注射よりも泣かずにいたので、そんなに痛みはなかった印象です。

終わった後は自然乾燥させるため、腕は出したままにして別室の個室へ移動しました。その後はモニターやベビーカー、酸素ボンベを整えて、夫と2名のスタッフさんがサポート。私は娘を抱っこして、30分間副反応が出ないか様子を見ました。
観察の間、保健師さんと区のサービスについて再度話を聞いたり、今後の児童発達支援について相談したりすることもできました。

5.良かったこと・辛かったこと

1)今回よかったこと

  • 事前相談が功を奏した
     あらかじめ保健師さんに相談していたので、当日は 個室を用意してもらえました。
  • スムーズに接種できた
     順番を工夫してもらい、最初に接種できたので、1時間で帰ることができました。
  • アドバイスがもらえた
     保健師さんから「駐車場が混む」と教えてもらっていたので、余裕をもって出発でき、慌てずに済みました。
  • 接種前に再度医師に確認
    医療的ケア児の場合は体調変化がよくあり、BCGを接種してよいかどうか、必ず主治医に確認する必要があります。娘の場合は当日発熱もなく、前日の訪問診療で再度確認していたので安心して受けられました。

2)今回辛かったこと

娘には医療機器がたくさん必要なため、接種後はワクチンを打った場所に触れないよう注意しながら、スタッフさん2名と夫、私の4人がかりでやっと個室まで移動しました。その様子を、後から接種する多くの親御さんに見られるのは、正直とてもつらいことでした。

また、首が座っていて元気に動く健康な赤ちゃんと、わが子をつい比較してしまい、病気がなければ…と胸がぎゅっと苦しくなりました。わかってはいても、どうしても「違い」を感じてしまう瞬間でした。
しかし、たくさんの方の協力のおかげで、安全に接種を終えられたことは本当に嬉しく、安心しました。家に帰って改めてわが子を見つめると、愛おしさが込み上げてきて、先ほどの出来事ももう気にならなくなりました。
「私たちは私たち」――そう思いました。

6.BCG接種後の注意点

BCGを接種した当日も、入浴は可能みたいです。ひっかいたりこすらないように気をつけましょう。
詳しくは、こちらをご覧ください。
日本ビーシージー製造株式会社 一般の皆さまへ接種部位の経過について

訪問看護師さんやリハビリさんに、「腕にBCGを打ったので、強くこすらないように」と、お願いしました。

6.おわりに

BCGは、訪問診療やかかりつけの病院で接種できる場合もあり、そのような環境をうらやましく感じることもありました。
一方で、今も集団接種でしか受けられない地域もあり、不安を抱えている方もいらっしゃると思います。

それでも、保健師さんや医師、家族のサポートを受けながら、少しずつ安心して乗り越えていけるはずです。
同じように悩みながらも工夫している仲間がいることを忘れずに、無理のない形で進めていけたらと思います。

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