
みなさんは、お子さんが風邪をひいた時の対応について、医師から言われていることはありますか?私の娘の場合は、風邪をひいたらすぐに受診するように言われています。
医療的ケア児は、呼吸器疾患や神経疾患、心疾患などの基礎疾患を持つことが多く、風邪のような軽い感染症でも基礎疾患が影響して重症化しやすい傾向があります。
家庭での早めの気づきと、適切な感染予防が何よりも重要です。この記事では、風邪をひいたときに注意して観察したいポイントと、家族が実践できる感染対策について解説します。
目次
1.医療的ケア児が風邪で重症化しやすい理由
医療的ケア児は、日常生活の中で医療的サポートを必要とする子どもたちです。
普段は安定していても、「たかが風邪」と思われる感染症でも、急に重症化することがあります。
では、なぜ医療的ケア児は風邪で重くなりやすいのでしょうか?
1)呼吸機能が弱い
医療的ケア児の多くは、先天性疾患や神経・筋疾患などで呼吸筋が弱い、もともと肺や気道の病気(例:気管支軟化症、慢性肺疾患)や奇形を持っていることが多い、気道クリアランス(痰を出す力)が弱いという特徴があります。また嚥下障害があると、唾液や鼻水が気道に入りやすく、「誤嚥性肺炎」を起こしやすいです。
風邪ウイルスで分泌物(痰や鼻水)が増えると、これをうまく排出できず、
- 肺炎
 - 無気肺(肺の一部がつぶれる状態)
 - 痰による窒息
を起こしてしまうリスクが高くなります。 
2)基礎疾患や合併症が多い
医療的ケア児は、心疾患・呼吸器疾患・てんかん・発達障害など複数の持病を持っていることが多いです。
これらの基礎疾患があると、感染によるストレスに身体がうまく対応できず、
体温や心拍、呼吸のバランスを崩しやすくなります。
3)栄養状態や免疫力が弱い
風邪によって栄養の消化・吸収が悪くなり嘔吐したり、経管栄養や胃ろうなどで栄養を摂取している場合、食欲低下や吸収障害により、体力や免疫力が低下することがあります。
そのため、同じウイルスに感染しても、治りが遅くなりやすい傾向があります。
4)医療機器による感染リスク
人工呼吸器や吸引チューブ、カニューレなどの医療機器が体に接続されていると、感染の入り口になってしまうことがあります。
清潔を保つためのケアを徹底していても、ウイルスが侵入しやすい構造的リスクがあります。
5)家族や周囲の人からの感染
医療的ケア児自身は外出が少なくても、家族や支援者を通して風邪ウイルスが持ち込まれることがあります。
そのため、家庭内での感染対策(手洗い、うがい、マスク、物品の共用を避けるなど)がとても重要です。
2.風邪をひいたときの対応
風邪の初期症状は一般の子どもと同じく、発熱・鼻水・咳・ぐったり・食欲低下などですが、医療的ケア児では進行が早いことがあります。
以下のような変化に注意しましょう。
1)観察ポイント
🫁 呼吸の様子
- 息が早い・浅い、胸の動きが大きくなる
 - 呼吸音が「ゼーゼー」「ヒューヒュー」している
 - 酸素飽和度(SpO₂)がいつもより低い、不安定
 - 人工呼吸器や在宅酸素の設定でも苦しそうに見える
 
🌡 体温と全身状態
- 発熱が続く
 - 体温が低下して手足が冷たい
 - 顔色が悪い、唇が紫色っぽい
 - ぐったりして反応が弱い
 - いつもより脈拍が早い・遅い
 
🍼 栄養・水分摂取
- ミルクや経管栄養が入りにくい
 - 嘔吐が増えている
 - 尿量が少ないなど
 
2)早めにかかりつけ医や訪問看護に相談
「いつもと違う」と感じた家族の直感はとても大切です。私の娘は、咳がつづきおかしいと思い病院に受診したり訪問診療の医師に臨時で診察をお願いしました。その際は、「風邪」と診断されませんでしたが、前もってこまめに相談していたことで気にかけてくれたり、風邪の症状が徐々に表れた時にスムーズに対応してくれたりしました。
3)家族ができる感染予防対策
風邪の多くは、感染によるものです。家庭内での感染拡大を防ぐために、以下のような工夫が有効です。
🧼 手洗い・うがいの徹底
- 帰宅後・食事前・ケアの前後にしっかり手洗い
 - 家族全員で習慣化する
 
🪥 個人用品を分ける
- 歯ブラシ・タオル・コップは共有しない
 - 洗面所などに名前付きで管理する
 
😷 マスク・咳エチケット
- 人の多いところに行く場合はマスクを着用する
 - 風邪症状がある家族はマスク着用
 - ケア児との接触前に手指消毒
 
🧽 環境を清潔に保つ
- よく触る場所(ドアノブ・リモコン・トイレなど)は定期的に消毒
 - 加湿・換気で空気を清潔に保つ
 
💤 家族の体調管理
- 家族が体調不良のときはケアを代わってもらう
 - 睡眠・栄養をしっかり取ることも感染対策の一部です
 
3. 日常の工夫
1)予防接種(例)

予防接種を受ける前に、主治医に相談しましょう
| ワクチン等 | 主な効果・目的 | 接種回数・対象年齢・補足 | その他 | 
|---|---|---|---|
| インフルエンザワクチン | 季節性インフルエンザの重症化・肺炎合併症予防 | 年1回が一般的。子どもでは2回接種の自治体あり。例:6 か月〜3歳未満=2回/3歳以上=1回など。 | クリニックで値段が変わる。助成金がある地域も。安全性が高い | 
| 新型コロナウイルスワクチン | COVID-19の重症化・死亡リスク低減 | 年齢・状況によって回数が変動。 | 副反応が強くでることも | 
| ベイフォータス(抗RSウイルス抗体製剤)/RSウイルス関連ワクチン類型 | RSウイルス感染症による下気道疾患・重症化予防。 | 特に早産・医療的ケアが必要な乳児・幼児 ※ベイフォータスHPをご参照ください  | 高価であり、医師の許可が必要。医療的ケア児は助成があることも。 | 
2)事前の準備
・日頃から感染予防対策を行う
・ニュースや口コミで流行を知る
・感染対策予防の物品を準備
・家族が風邪をひいた場合どのような対応をするか話し合う(隔離など)
・訪問看護師に風邪をひいた際、訪問回数を増やせるのか、緊急時は土日も訪問可能なのか確認する
3)日々の記録
風邪症状(くしゃみ、鼻水、咳、喉の違和感、痰の色・量が変わったなど)やバイタル(体温・脈・血圧・SPO2・意識レベル)の変化があれば、いつから状態が変化したのか記録しましょう。
4.まとめ
医療的ケア児が風邪をひいたときは、早期発見・早期相談・家庭内感染の予防がカギです。
毎日の観察と家族の協力で、安心して在宅療養を続けられる環境を整えていきましょう。
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