「病院ルール、親は守らなきゃいけないの?」付き添い入院で感じた負担と葛藤

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赤ちゃんを抱っこしている母親がべッドに座り、看護師と話している写真

先月、2カ月ぶりに娘の付き添い入院をしました。やはり疲労は蓄積していき、日々のケアだけでも大変です。その上、病棟の規則にも悩みました。

普段自宅では、テープの固定は日にちを厳密に決めていませんし、呼吸器の洗浄も「明日にしよう」など自由に調整しています。しかし病棟では、テープ交換は必ず2日おき、呼吸器の洗浄も曜日が固定されています。

疲労がたまる中、「少しでも休みたい」「家では自由にできるのに、病院ではどうして今やらなければいけないのか」と葛藤する日々でした。

病院には、面会時間や付き添い入院、シャワー、テープ交換など、さまざまな規則があります。付き添い入院を経験した方なら、「このルール、ちょっと困ったな」と感じたことがあるのではないでしょうか。

今回は、私自身が付き添い入院で困った・辛かった体験をもとに、そのときの対応策や工夫についてご紹介します。

1. 付き添い入院は親に大きな負担

医療的ケア児の付き添い入院では、24時間子どもを見守りながら医療的ケアを行わなければなりません。そのうえ、私の娘が入院する病院では、呼吸器の洗浄やテープ交換など、厳密に「1週間に1回」「2日おき」といったルールが決まっています。

しかし、これを完璧に守ろうとすると、親の心身の負担は非常に大きくなります。

入院中、看護師さんが部屋に来るたびに「あれはやりましたか?」「これはどうですか?」と確認されるため、付き添いの親からすると プレッシャーや焦りを感じる瞬間になりました。特に疲労がたまっている状態だと、些細な確認でも心理的負担が大きくなります。

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2.なぜ病院規則があるのか

それではなぜ、病院の規則があるのでしょうか。

1)患者の安全を守るため

  • 医療機器や薬の使用方法、ケアの頻度などは、誰が行っても安全に行える最低限の基準として設定されています。
  • 例えば、呼吸器の洗浄やテープ交換の頻度は、感染やトラブルのリスクを最小限にするために決まっています。

2)医療スタッフ全員で統一するため

  • 病院には多くのスタッフが関わります。ルールが統一されていないと、ケアの方法やタイミングがバラバラになり、事故や混乱につながることがあります。
  • 親や患者が入院している場合でも、統一した手順があることで、スタッフ間の連携がスムーズになります。

3)法律や管理上の理由

  • 病院は医療事故や感染症のリスクに対して法的責任があります。
  • ケアの記録やルールの遵守が明確になっていると、トラブル発生時の対応が迅速で安全になります。

インターネットで「病院規則」と検索すると、「スタッフの指示やその他定められた事項に従ってください」と出てきます。でも、本当に言われた通りにすべて従わなければいけないのでしょうか。

拒否をすると、強制退院になってしまうのか不安です。


3. 看護師としての視点:手間は日常でも…

看護師にとって、呼吸器の洗浄やテープ交換は日常的なケアで手間のかからない作業です。経験があると無意識にできるルーチーンであり、時間的にも体力的にも大きな負担にはなりません。

しかし、医療的ケア児の親目線になって気づいたことは、看護師とは状況が全く異なるということです。付き添い入院で睡眠不足や緊張、心配が重なる中では、1つの作業でも大きな労力になります。さらに、医療的ケア児の家庭では毎日の育児の中でルーチーンやこだわりがあり、病院ルールと衝突することも少なくありません。

私の娘は、胃管のテープを交換する際に嘔吐してしまうことがあります。現在の方法では皮膚トラブルも起きていないため、病院で決められた頻度通りに交換したくないという想いがあります。


4. コンプライアンス・アドヒアランスとは

病院では、付き添いの親も患者(子ども)の安全を守るために決められたルールに従うことが前提になっています。呼吸器の洗浄やテープ交換など、日々のケアも例外ではありません。

ここでよく出てくる概念が コンプライアンスアドヒアランス です。

1)コンプライアンス・アドヒアランスとは

  • コンプライアンス:医師や病院の指示を「言われた通りに従うこと」
  • アドヒアランス:医師・看護師と話し合いながら「患者や家族が納得して協力すること」

病院は基本的に コンプライアンス前提 でルールが決まっているため、親としては自由に調整できず辛さを感じます。


2)病院規則が親にとって辛い理由

  1. 自由度が低い
    • 自宅では「今日は疲れたから少し手順を省く」とかできるのに、病院では絶対に守らなければならない。
  2. 疲労が蓄積する
    • 付き添い入院は24時間子どもを見守る必要があり、精神的・体力的負担が大きい。
  3. 家庭でのルーチーンとのギャップ
    • 医療的ケア児の家庭では、すでに日常のルーチーンやこだわりがあるが、病院の標準手順と衝突することがある。


5. 親としてのポイント:無理せず相談

病院はまだルールや指示を守ることを重視する部分がありますが、徐々に、「患者・家族主体で納得して協力する」アドヒアランス型にシフトしている病院も増えています。

病院ルールは安全のために必要ですが、親の負担や家庭でのルーチーンも尊重されるべきです。安全を守りながら、無理のない方法を一緒に考えることが大切です。

そのために重要なのが、「なぜそのルールが必要なのか」を共有することです。例えば、娘の入院する病院ではテープ交換を2日おきに行うのが基本ですが、「皮膚が荒れないのであれば3日おきにできないか」と相談することも可能です。理由を理解した上で調整を提案すれば、安全と負担のバランスを取ることができます。

しっかりとしたルールがあることは、確かに安心・安全につながります。しかし、子どもや親の状態にも配慮してほしいと思います。


6. おわりに

以前、付き添い入院中に、日中だけで10回も看護師さんがお部屋を訪ねてくれたことがあります。心配してくれる、安全なのはうれしいですが、親には負担がかかります。病院のルールを守ることも安全のために必要なのは確かですが、疲れている親や家庭でのルーチーンも尊重されるべきです。

親のストレス軽減のためには、ただ黙って従うのではなく、**「なぜこのケアが必要なのか」「親としてはどうしてほしいか」を共有し、納得して協力すること(アドヒアランス)**が大切です。病院のスタッフに相談したり、優先順位を話し合ったりすることで、無理なく安全なケアができます。

親としても、完璧を目指さず、できる範囲で子どもと自分の負担を守ることが重要です。疲れたときはためこまず相談し、安心して付き添い入院を乗り越えられるよう、自分のペースも大切にしてください。

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