
みなさんのお子さんは、夜ぐっすり寝ていますか?
最近、私の娘は昼夜逆転気味で、私自身も睡眠不足が続いています。
同じように悩んでいるご家庭も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、医療的ケア児が昼夜逆転になりやすい理由と、家庭でできる対策をまとめてみました。
目次
1.医療的ケア児が昼夜逆転になりやすい理由
1)医療的ケアによる夜間の刺激
痰の吸引や体位変換、経管栄養、モニターアラームの音など、夜間も定期的にケアや処置が入ります。処置をするときにライトを使うことでも、眠りが細切れになり、深い眠りに入る前に起こされるため、自然な睡眠リズムが崩れやすくなります。
2)体調の変動
呼吸状態や発作、嘔吐などで昼夜問わず対応が必要になることも多く、日中に眠ってしまい、夜に目が冴えてしまうことがあります。
3)環境の影響
一般的には「夜は部屋を真っ暗にした方が眠りやすい」と言われますが、医療的ケア児やNICUを経験した赤ちゃんの場合は必ずしもそうとは限りません。
常に照明やモニターの光がある中で育ってきたため、急に真っ暗にされると怖がって泣いてしまうことがあります。またNICUや入院生活を経験した子どもは、昼夜の区別がつきにくいまま在宅に移行することがあります。
4)発達や障害の影響
重症心身障害児や医療的ケア児は、脳の働きや自律神経のバランスが乱れやすく、睡眠リズムを整えるメラトニン分泌にも影響が出るといわれています。
5)日中の活動や刺激が少ない
医療的ケア児は、感染予防や体調管理のために外出や人との関わりが制限されがちです。そのため日中の活動量や刺激が少なく、夜に眠れず昼夜逆転につながることがあります。
6)規則正しい生活リズムを作りにくい
よく「寝る前にお風呂に入ると眠りやすい」と言われますが、医療的ケア児にとっては現実的に難しいことが多いです。
お風呂は大掛かりな準備や介助が必要で、呼吸器やモニターの管理もしなければなりません。体力の消耗も大きく、逆に疲れて眠れなくなることもあります。
また、定期的な医療処置や体調の波によって、決まった時間に食事や睡眠をとることが難しい場合があります。その積み重ねで、自然と生活リズムが乱れやすくなるのです。
2.昼夜逆転への対策
1)習慣を決める
起床後にカーテンを開けて朝日を浴びることで、体内時計をリセットする効果が期待できます。
昼夜逆転を完全に直すのは難しくても、毎日の小さな習慣を積み重ねることで、少しずつ生活リズムが整いやすくなります。
例えば、
- 朝:顔を拭いてさっぱりする、カーテンを開けて明るくする
- 昼:音楽やリハビリなど、子どもが楽しめる活動を少し取り入れる
- 夜:リラックスできる音楽を流す、やさしいアロマをたく、部屋を少し暗くする
こうしたルーティーンは、子どもに「今は朝だ」「今は夜だ」という感覚を伝えるサインになります。

夏は暑さを抑えるためにカーテンを閉めざるを得ません。その代わりに電気をつけて明るさを保っています。
2)日中に活動を取り入れる
体調に合わせて、日中は訪問看護やリハビリなどをお願いして、好きな遊びやリハビリを取り入れ、夜に眠れるように生活リズムを意識します。五感を刺激する音楽や触覚遊びも効果的です。

昼夜逆転の対応は子どもだけでなく、親の睡眠不足にも直結します。寝不足のまま生活リズムを整えるのは、とても難しいことです。
だからこそ、一人で抱え込まず、いろんな人の力を借りることが大切です。
3)ケアのタイミングを工夫する
吸引や体位変換など、できる範囲で夜間の刺激を減らし、まとめてケアできる部分は調整すると眠りやすくなります。
ある勉強会で、「経管栄養は3歳から1日3回にできる」と言っていました。看護師や医師に相談しましょう。
4)環境を整える
夜は部屋を暗くして静かにし、朝はカーテンを開けるなど「昼と夜のメリハリ」を意識します。遮光カーテンやホワイトノイズマシンを活用する家庭もあります。
5)専門職に相談する
睡眠リズムの改善は家庭だけでは難しい場合もあります。主治医に相談し、睡眠導入剤の使用を含めて検討するのも一つの方法です。”トリクロ”というお薬が赤ちゃんにもよく使われています。だた、お薬が合わず副作用が生じる場合もあるので調整が必要です。
6)眠れない理由を考える
私の娘が眠れない主な理由は、睡眠時無呼吸によってSPO₂(血中酸素飽和度)が低下し、夜に起こさざるを得ないこと、そして夜間の経管栄養による嘔吐です。
また、暗い環境だと眠れないことや、人の話し声が聞こえると安心して眠れることも関係しています。
このように、眠れない理由は子どもによってさまざまです。
ぜひ、みなさんのお子さんにとって「どんな環境なら眠りやすいのか」を一緒に考えてみましょう。
3.活動の注意点
日中の活動を取り入れることは大切ですが、医療的ケア児は疲労や刺激が強すぎると体調を崩しやすく、発作が起こることもあります。いきなり、「日中は起きるために活動を取り入れないと!」と頑張りすぎず、その子に合った刺激量を見つけることが大切です。
例えば、
- 外出は最初は短時間から
- 遊びやリハビリは数分を数回に分ける
- 疲れているサインが出たらすぐに休む
など、小さな活動をこまめに取り入れる工夫も役立ちます。
4.おわりに
昼夜逆転は、医療的ケア児にとってよくあることですし、すぐに完璧に直すのは難しいかもしれません。
でも、「いつかは成長とともに落ち着いてくれるかもしれない」と気楽に構えることも大切です。
子どもの体調や生活リズムは少しずつ変化していきます。ちょっとしたきっかけで眠りが安定することもあります。
だからこそ、一人で抱え込まずに、いろんな人に相談してみましょう。
そして何より、親自身も無理をしないことが大切です。
★参考になったらクリックお願いします。応援していただけると嬉しいです

にほんブログ村
No responses yet