祖父母も悩んでいる。医療的ケア児家庭を支える大変さと“見えない負担”

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今まで、医療的ケア児をもつ父親・母親・きょうだいの葛藤や不安をご紹介しました。
最後に、”祖父母などの同居人が抱える苦悩”に関して厚生労働省の調査によって分かったリアルな声を整理してみました。

※本記事の一部は厚生労働省資料(p.85)令和元年 医療的ケア児者とその家族の生活実態調査
報 告 書を参考
に、AIの力を借りて構成しています。

1.祖父母・その他の同居人と暮らしている家族の割合

上記の厚生労働省の調査で、医療的ケア児と同居している祖父母は16.3%、その他は3.6%でした。(p.15)
医療的ケア児を育てる家庭では、祖父母やその他の同居者も支援者になるケースがあります。
けれど、その中には大変さを抱えている方もいます。

2.調査から分かった医療的ケア児を支える祖父母・その他の同居人の大変さ

1.ケアへの不安と心理的負担

  • 医療的ケアに慣れていないため、関わり方に戸惑う。
  • 少しの時間でも見ている間に何か起きたら…と不安で気が抜けない。責任の重さが大きい。
  • 医療行為は怖くてできない。責任が取れないため関わりたくない。
  • 自分たちの生活もあるため大きな支援は難しい。

2.身体的・精神的な負担

  • 子どもの成長に伴い重さも増えて身体に堪える。体力が厳しい。
  • 頼まれても高齢になり以前のようには動けなくなってきた。
  • 母親がケアに専念する分、自営業や家事、平日の送迎などを引き受けざるをえず疲労困憊。
  • 旅行も難しく、自分たちだけの時間や人生の楽しむ時間が取れない。
  • 夜中に起こされることもあり、睡眠不足。体力の回復が追いつかない。

3.将来への不安と生活の制約

  • 自分がいなくなったとき、母親が一人でケアできるのか心配。運転もできないのでなおさら不安。
  • 祖父母のサポートがないと生活がまわらない。

3.我が家の現状

私たち家族にとっても、祖父母の存在はとても大きな支えになっています。それぞれの関わり方や思いについて、今回は我が家の現状をご紹介します。

◇祖母(私の母):縁の下の力持ち

私の母は仕事をしているため、休日に月1〜2回、遊びに来てくれます。
家の掃除が行き届いていないときは、掃除や整理整頓を手伝ってくれます。
私が横になりながら娘を見ているときには、そっとあやしてくれることもあります。

ただ、医療的ケアには慣れていないため、私が常にそばで対応できるようにしています。
アラームが鳴った時には、「これは誤作動だから大丈夫」と都度伝えることで、母の不安も少しずつ和らいでいるようです。

雑談をしながら過ごす時間は、私にとってリフレッシュのひととき。
母はテレビ好きなので、普段テレビを見ない私に、いろんな情報を教えてくれるのも嬉しいポイントです。

外出時も一緒に来てくれて、「これ取って」「ちょっと抱っこして」など、家族ならではの気心知れたサポートがありがたく感じています。ただ、祖母も今は元気ですが高齢になり、我が家に来ることも負担になるだろうなと思い、「無理しない」「体調が悪い時には言ってほしい」と伝えています。

◇祖父(私の父):できる範囲で沢山助けてくれる存在

父は、娘の離乳食を買ってきてくれたり、一緒に会話をすることで私の気持ちを軽くしてくれます。
また、自身の父(私の祖父)の介護をしており、その話を共有してくれたり、祖父とのテレビ電話をつなげてくれるなど、家族のつながりを感じさせてくれます。

しばらく会えていないひいおじいちゃんと娘が画面越しに触れ合う時間は、私たちにとってとても大切なひとときです。

◇叔父(私の兄):離れていても気にかけてくれる存在

叔父は遠方に住んでいるため、なかなか頻繁には会えません。
けれど帰省のたびに、ご当地のお土産をたくさん持ってきてくれます。
私や娘にタオルやちょっとした雑貨なども選んでくれて、「これ、似合いそうだな」と思いながら買ってくれたんだろうな…と、その気持ちがとても嬉しいです。

同年代だからこそ話せる芸能人の話や社会問題、最近の流行の話など、私にとっては貴重な雑談相手。
そして、祖父母(私の両親)の体調の変化についても気にかけてくれていて、私が気づけていないことをそっと教えてくれたりします。私自身、日々の生活に追われていて、祖父母のことまでしっかり見られないこともある中で、
「ちゃんと見てくれている人がいる」と思えるのは、すごく心強いことです。

また、祖父母が私や娘の体調・生活を心配して気持ちが沈んでいるときには、叔父が話し相手になってくれることもあります。
“誰かに話すだけで、少し楽になる”──その役割を叔父が担ってくれていることに、感謝しています。

◇祖母(夫の母):外出時やピンチのときに頼れる存在

私が外出する時には、夫の母に来てもらえるようお願いしています。
一人で娘を見るのは怖いので、夫が仕事しながら何かあったらケアを行いますが、
ケア以外では義母は娘とたくさん遊んでくれます。

部屋の掃除や、たくさんの手作り料理、なくなりそうな日常品も買って持ってきてくれて助かります。
今度は一緒に遠出しようと思っています。というのも、以前、家族3人で動物園に行ったとき、私が熱中症になり、娘は嘔吐、夫は一人で必死に対応…。人手が多いほうが、やっぱり安心だと痛感しました。

夫側の祖父母の近くに引っ越しましたが、無理のない範囲でサポートをお願いしたいと思っています。

◇祖父(夫の父):力仕事・運転・送迎など幅広く頼れる存在

夫の父は車の運転ができ、大きな買い物や荷物運び、義母の送迎などもしてくれます。
義母と一緒に娘をあやしてくれたりと、体力面でのサポートがとても助かっています。

ただ、身体を壊さないよう、また一人で頑張りすぎないよう、みんなで一緒に力仕事を分担するようにしています。


おわりに

「できることを、無理のない範囲で」──
そんなふうに、祖父母や家族に手伝ってもらえるようにお願いしていますが、
実際には、気づかないうちに負担をかけてしまっていることもあるかもしれません。
そのことには、きちんと気づいて、感謝の気持ちを忘れずにいたいと思います。

医療的ケアがあることで、「こわい」「自信がない」と感じるのは当然のこと。
それでも、そばにいてくれるだけで、心がふっと軽くなる瞬間があります。
ただの雑談でも、気持ちが前を向けるきっかけになることがあります。

そんな小さな積み重ねが、私たち家族にとってはとても大きな支えです。

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